寂しきメディア
椿説の姫は淫乱春の泥
貝の中ひとつひとつに波寄せる
烟になれぬもののうごめく春の山
うつむいてくる蝶にのみ風光る
見えぬ方より烟きて蝶狂う
メディアともならでわが母青線忌
夜焚して娼婦真っ暗闇に入る
泣くだけ泣いて芯から眠る白牡丹
流されて鶯鳴ける鬼の宿
凡人に託されており妬みなど
血縁は鉈で切るべし春疾風
慈母にしてこの子ある街青線忌
いくたびか母が溺れし鶏頭の朱
枯山に磁気降りそそぎ芽吹くかな
蟇出づるこの世の地獄見るために
黒髪の母より深く山眠る