母体幻想 複製の母

複製の母

ストリップの呼び声高し台風の目

安クレヨン散らして騎手のまたがりぬ

母の嘘聞きおる日がな芋嵐

風鈴や他界より来たるもののあり

黒き秋の柱のなかの一家族

科ありて女系図くらき乳房享く

天体にネジ増えゆくかたつむり

骨壷の冥さを知りて芽吹くかな

月光にずぶ濡れの母帰宅せり

親のないこどもばかりよ螢火は

かげろうのひしめく宿に還る母

複製の母にほとなし雲の峰