どん底のサロメ 葱坊主

葱坊主

君の眼の中で地獄が毛糸編む

桃熟れてひとりの湯にもおぼれゆく

蛇口まで冬が来ていて煮凝るや

氷河期に耳突き抜けて眠るかな

十一月母は憎しみ産み落とす

胎内はここより寒し湯につかる

合歓の花ふたりでいても寂しいね

うば捨てという極楽に葱坊主

蓮枯れてみな喉仏あらわるる

椿満開奈落に爪を切り落とす

亡き母とならんでおりぬがまがえる

児を流すもののひとつに天の川

椿満開女は死後も夢をみる

あやめたきほど赤きお月様

行き暮れて螢の国につきにけり