どん底のサロメ 葱坊主 2023.08.142023.08.15 葱坊主 君の眼の中で地獄が毛糸編む 桃熟れてひとりの湯にもおぼれゆく 蛇口まで冬が来ていて煮凝るや 氷河期に耳突き抜けて眠るかな 十一月母は憎しみ産み落とす 胎内はここより寒し湯につかる 合歓の花ふたりでいても寂しいね うば捨てという極楽に葱坊主 蓮枯れてみな喉仏あらわるる 椿満開奈落に爪を切り落とす 亡き母とならんでおりぬ蟇がまがえる 児を流すもののひとつに天の川 椿満開女は死後も夢をみる 人殺あやめたきほど赤きお月様 行き暮れて螢の国につきにけり