「つげ義春」を読む。
掲載作品(蝶丸)
籠の中で泣いているのは母だろう 無能の人
咲くために一度奈落に降りてみる 紅い花
流行歌はいつも恋唄たんぽぽ咲く 李さん一家
鵙日和ゾロ目が出たら釣に行く ほんやら洞のべんさん
もう夢を見ることのなき寒椿 古本と少女
抱だかれて水の恋しき夕螢 もっきりやの少女
鳥男ひとのたましい売り歩く 夢の散歩
身を投げる僕を見ている沼がある 夏の思い出
死亡記事に僕の名がある春の夢 義男の青春
まさぐりなでつけあいしてうんで寒卵 リアリズムの宿
みちゆきの道をはぐれし寒椿 枯野の宿
恋しくて人待てば鬼ほたる籠 沼
胎内に片腕があり痛むなり 沼