青線忌 冬の銀河

冬の銀河

恨みだけ喰い残されている干鱈

木枯しを紡ぎしあとの雪明かり

胎内は多分やかまし羊歯匂う

母性などはなからあらぬ百舌鳥日和

ほとなべてひさぐものなりどんど焼き

しんしんと雪匂うまで母の性

ずたずたに姉を犯して蝶来たる

森を出て手垢まみれの蝶来たる

淫売と聖者ばかりのどんど焼き

底無しのだるま焼くの向こう側

膝と膝の間に孤独寒椿

髪切れば日輪にわれ娼婦なり

淋しくて繭玉ひとりでに揺るる

泣いてゆく向こうに春の生殖器

胎外へ冬の銀河へ漕ぎ出だす